Diary


05年01月28〜30日 湿っぽいのはこれで最後

 修士論文の謝辞は38文字×24行ほどのもの。

 そのうち5行は先生だけにあてたもの。

 思いつく限りの短い言葉で謝辞を述べて、本当は何ページかに渡ってダラダラと

 語りかけてみたかったりする気持ちを抑えて、5行、きっちりと。

 181文字の、謝辞で弔辞。









〜28日 お礼〜

 今日は埋葬式…

 昨日の夜、OBが集まって食事をしたときの楽しい気分はどこへ行ったのか…

 まだ、みんな気持ちが宙に浮いているみたいな感じだ。

 集合場所でする話は研究の話。

 思わず自分のデータについて先輩(カレー嫌い)と議論する。



 先輩「集まってする話が研究のことなんだから、俺ら本当に根っからの化学者だなぁ。」



 …耳が痛い。

 クッシーが昨日の帰りの電車の中でしつこく

 『やはりタカシさんが先生の跡を継ぐしかありませんよ!』

 なんて言って来たのもあいまって、耳が痛い。

 …俺が進学したって、別にやりたいことは…

 やりたいことは、先生のコピーでしかない。

 その後は特にやりたいものなんかないかも知れないし、

 …その、『常に自分が腐っていないとダメ』なキャラクターである俺が

 今からバリバリ勉強して博士ってのもなんだなぁ…

 先輩、的確すぎます…

 『タカシは25%くらい腐ってないと頑張りすぎかな?って思ってブレーキかけるヤツだ。』

 なんて。



 誘導係をひきうける。

 昨日、誘導係をやったヤツが今日は控え室待機。

 俺は昨日式に参加したから… 今日は、外で静かに誘導でもしていよう。

 …が、俺の立っている場所からは誘導すべき人がほとんど来ない。

 来るのは大学の学生ばかり。

 ひょっとしたら読者と顔あわせてたりするかもなー、と苦笑。



 式の時間が迫り、受付の方が忙しくなってはいないかと様子見に行く。

 …が、特に忙しくは無いようだ。

 では、手の空いてる者はみんな中に入れ…と言ったら、

 逆に俺の方が聖堂の中に入れられてしまった。





 ろうそくに火を灯して、神父様の話に耳を傾ける。

 といっても英語がわからないので通訳に耳を傾ける。

 泣きそうな顔してるのかどうかわからないけど、我慢しながらじっと、耳を傾ける。



 「楽しい思い出をどうかずっと忘れずに。卿の安らぎを心よりお祈り下さい。」



 楽しい思い出…

 本当に色々あった、本当に…

 涙が粒になって、ろうそくを持つ手に落ちた。

 約束したことを何も果たしていないのに、もう会えない。

 そう言えばまだ一度もお礼らしいお礼を言ったことが無い。

 俺は、卒業して巣立つときまで、お礼はとっておこうと思ってたから…

 4年生が終わったときも、そのまま何も言わずにずっと研究室にいただけ。



 恩返しのチャンスだと、

 せめて先生のいない研究室を守っていこうと頑張ってみたけれど、

 影ながら頑張るよりもやっぱり一度だけでもお礼が言いたかった。



 棺に花を入れる。

 ありがとうございましたと言える最後のチャンス。

 でも、口からは泣き言しか出そうになかったので、深く、おじぎをした。

 昨晩、同期のOBであるTに言われた…



 T「お前、なんか凄く変わったな。」



 今の俺があるのは先生の下にいたからという部分が大きい。

 俺はいつでも無理だと思いながら挑戦してなんとかしてきた。

 無理だと思っているのに挑戦しようと思った。

 無理かどうかはやってみないと分からないことが分かった。

 無理だと思うことも、意外に自分はなんとかできることが分かった。



 先生は俺の人生を面白くしてくれました。

 ありがとうございます。







 式が終わったら、現メンバー8人と先輩の9人で食事。

 そして解散。

 久しぶりに入った書泉で気になる本を買って、帰途につく。

 その途中でピカリンからメールが。



 ピカリン『今日研究室に行って泊まりますか?』



 ………。

 そうだ、膝を折るのは27日だけと決めたはず。

 今日は立って歩かなくてはならない!

 なぜなら修士論文の提出と、学部生の卒研発表会が迫っている。

 3年間のまとめを終わらせなきゃならないし、先生の代理はまだ終わっていないのだ。

 もちろん、『泊まる』と返事をした。





〜29日 S先生ありがとう〜

 研究室に泊まって、修士論文の残りは『総括』のみとなりました。

 謝辞は、昨晩というか今日の午前2時に書き終えたから。



 しかし総括を書いていて加筆したいところとか出てくるから困る。

 すぐ終わるかと思ったら意外と時間がかかる。

 そんなおり、S先生が研究室にいらした。



 S先生「昨日は本当に、みなさんありがとうございました。」



 お礼なんてとんでもないです。当然のことです。



 S先生「それで、発表練習の方はみんなしてるの?」

 俺「原稿ができてる者もいれば、まだな者もいまして通しの練習はしてません。

   今日、みっちりやるつもりです。」

 S先生「それじゃぁ、僕が見ますから、何時頃にしますか?」



 なんと、S先生が練習を見てくださると言う。

 さらにそこへSZ先生までいらして、やはり見てくださると言う。

 結局はS先生が引き受けてくださる形になったけれども、SZ先生もありがとうございました。



 で、俺も修論書きながらたまに顔を出したりする。

 本当はずっと一緒に見てるべきなんだろうけど…

 S先生は1人あたり1時間ほどかけてみっちりダメだしをしてくれました。

 6時くらいまでしかいないつもりと仰っていたのに、結局7時半まで付き合っていただきました。

 おかげでその日のうちに書き終えた修士論文をわたすこともできた。



 …で、誰か泊まる? (※明日は日曜)



〜30日 仕上げだッ!〜

 今日は日曜日ですが…

 発表直前の2日間を潰した我々に余裕はありません。

 やるぞッ!!! 俺以外。



 泊まったピカリン、ザッキー、マッツの発表を見て、ダメ出しして、適当に解散。

 明日は遂に発表の日だ…



 家に帰ってくると、保管場所の証明シールを張ってないことに気付く。

 ああ、それじゃあ張っておくかな。

 車の後ろに立って、説明書に従ってはりつける。

 台紙からはがして、貼り付けて、そして裏面の台紙も剥がし、最後に保護シールを…

 ………。



 裏面の台紙を剥がしてからすごいことに気付く。



 これって室内に貼るものじゃん!!!Σ(´Д`;

 外に張ったらイタズラではがされる可能性もあるし!

 第一、登録番号が見えないよ、裏面が外に向いてるからッ!!

 あわててはがす俺。

 メメタ〜!!!



 あっさりはがれました、印刷が。

 思いっきりダメになりました。

 後日警察に行って再発行してもらうしかありません。(´Д`;